蓄電池7kWhは1日に何kWh使えるのか|1年間の実測は、入れた8.1kWhに対して出たのは6.4kWhだった
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先に結論
容量7.04kWhの蓄電池を1年間使って、毎日の充電量と放電量を記録しました。分かったことは3つです。
- 1日に入る量には天井がある。 充電量の中央値は8.12kWh。365日のうち226日が8〜9kWhの帯に収まりました
- 発電量が10倍違う日でも、充電量は2.3倍にしかならない。 晴れた日にたくさん貯まるわけではありませんでした
- 入れた8.1kWhに対して、出てきたのは6.4kWh(どちらも中央値)。カタログの容量と、家で使える量は別の数字です
蓄電池をこれから検討する人に関係するのは、3つめです。
集計は2025年3月1日から2026年2月28日までの365日、太陽光13.750kW・蓄電池7.04kWhの家での記録です。年間の発電量が提案書の予測と比べてどうだったか、費用が何年で回収できる見込みかは太陽光シミュレーションは当たったのかにまとめてあります。
1日に入る量には天井があった
365日ぶんの1日の充電量を並べると、こうなりました。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 中央値 | 8.12 kWh |
| 最大 | 11.36 kWh |
| 25%の日はこれ以下 | 7.79 kWh |
| 75%の日はこれ以下 | 8.24 kWh |
25%の日と75%の日で0.45kWhしか違いません。真ん中の半分の日が、7.79〜8.24kWhというごく狭い範囲に収まっています。

帯ごとに数えると、8〜9kWhが226日、7〜8kWhが54日。6割以上が1kWh幅の中でした。 一方で、1kWh未満しか入らなかった日も35日あります。この35日が何なのかは、後半の冬の話でつながります。
容量7.04kWhなのに、8kWh台が入っているのはなぜか
気になったので、建築中に撮っておいた盤の写真と、電気図面を見返しました。

わが家には分電盤と切替盤が並んでいます。切替盤は、停電したときに自立運転へ切り替えるための盤です。図面で線を追うと、電力メーターから来た線は先に切替盤へ入り、そこを通ってから分電盤へ行きます。
その切替盤の、いちばん手前のブレーカーの電源側に、黒いクランプ状の部品が2個挟まっていました。

パナソニックの分割型電流センサ(CT)です。ケーブルを切らずに、外側から挟んで電流を測ります。単相3線式で電力を測るにはCTが2個必要なので、これで1回路ぶん。付いている場所がメーターから来た線なので、これで測っているのは買った電気と売った電気です。
つまり、充電量を測っているセンサーは盤の中にありませんでした。この数字はパワーコンディショナが出しています。
定格容量と実効容量は別の数字
では定格7.04kWhを超えて8kWh台が入るのはなぜか。調べると、蓄電池には定格容量と実効容量という2つの数字がありました。定格容量は電池そのものに蓄えられる量で、実効容量は交流側で実際に取り出せる量。実効容量は定格より1割ほど、または1kWhほど小さくなるのが一般的とされています。
わが家の放電の中央値6.40kWhは、定格7.04kWhの91%。この目安とほぼ重なります。
入るほうが8kWh台になるのは、交流から直流へ変換するときに失われる分が引かれていないため、と考えると数字は合います。ただし確かめる手立てはありません。
発電量が10倍違っても、充電は2.3倍にしかならない
発電量の多かった日と少なかった日で、蓄電池の働きを比べました。365日を発電量の順に4つに分け、上下の四分位だけを取り出しています。
| その日の発電量 | 発電量の平均 | 充電量の平均 | 放電量の平均 |
|---|---|---|---|
| 少ない92日 | 7.9 kWh | 3.57 kWh | 2.67 kWh |
| 多い92日 | 77.5 kWh | 8.12 kWh | 6.47 kWh |

発電量は9.8倍違うのに、充電量は2.3倍にしかなっていません。
発電量と充電量の相関係数は0.642で、無関係ではありません。ただしこの相関は、主に「発電がほとんどない日に充電も落ちる」ことで生まれています。発電が42kWhの平均的な日と、77kWhの上位の日では、充電量はほとんど変わりませんでした。
理由は単純で、蓄電池は満タンになったらそれ以上入らないからです。晴れた日に余った電気は、蓄電池ではなく売電に回ります。
入れた8.1kWhに対して、出てきたのは6.4kWh
放電量の中央値は6.40kWhでした。充電の8.12kWhとの差は1.72kWh。年間では充電2,563kWhに対して放電2,020kWh、差は543kWhです。
容量7.04kWhの蓄電池から、実際に家で使えていたのは6.4kWh前後でした。
ある夏の晴れた日を、1時間ごとに追った
日ごとの合計では見えないものがあったので、1日を1時間刻みで書き出してみました。
| 時間帯 | 充電 | 放電 |
|---|---|---|
| 0時〜6時 | 0.26 | 0 |
| 7時〜10時 | 7.77 | 0.15 |
| 11時〜16時 | 0 | 0 |
| 17時〜23時 | 0.05 | 6.40 |
| 合計 | 8.09 | 6.55 |
(小数第2位で丸めているため、内訳の合計と合計欄がわずかに合わない箇所があります)
充電は朝の4時間で終わっています。 11時から16時までは充電が完全に0で、そのあいだ発電した電気は売電に回っていました。昼が長いかどうかは関係なく、朝のうちに満タンになって終わりです。
この日の往復は8.09kWh入れて6.55kWh出て、往復効率は81.0%。一往復の効率は8〜9割程度が現実的とされているので、その下端に当たります。
深夜にも、わずかな充電が記録されている
もうひとつ、日ごとの合計では気づかなかったことがあります。
発電も放電もない深夜に、1時間あたり0.02〜0.04kWhの充電が記録され続けていました。
発電も放電もない時間帯なので、この電気は電力会社から買ったものになります。何が起きているのかは分からないので、次の定期点検で聞いてみます。
543kWhの差を「変換効率は約8割」とまとめないのは、こういう分からない部分が混じっているからです。
冬に働かないのは、冬のせいではなかった
季節で分けると差がはっきり出ました。
| 充電/日 | 放電/日 | 買電/日 | |
|---|---|---|---|
| 夏(6〜8月・92日) | 8.12 kWh | 6.58 kWh | 8.25 kWh |
| 冬(12〜2月・90日) | 4.41 kWh | 3.24 kWh | 23.79 kWh |
冬は充放電が夏のほぼ半分、買電は約2.9倍でした。1年間で放電が0だった日は33日あり、その33日すべてが12月・1月・2月に入っていました(12月3日、1月18日、2月12日)。3月から11月まではゼロです。充電が0の日は1日もありません。先ほどの深夜の記録があるためです。
ただし、寒さで性能が落ちたわけではありません。冬でも発電が60kWhを超えた日があり、その日の充電は7.89kWh、放電は6.34kWh。先ほど1時間ごとに追った8月の晴れた日(充電8.09kWh・放電6.55kWh)と、ほとんど変わりません。
つまり冬の平均が下がっているのは、晴れた日の働きが弱いからではなく、発電の少ない日が多いからです。前の章で見たとおり、発電が少ない日は充電も3.57kWhまで落ちます。その日が冬に集中しています。
最初のグラフで「1kWh未満しか入らなかった35日」を挙げましたが、その正体もここです。発電がほとんどない日は、深夜のわずかな記録だけで1日が終わります。特に1月は31日のうち18日が放電ゼロでした。この月の発電量がどうだったかは太陽光シミュレーションは当たったのかに月ごとの推移を載せています。
いずれにしても、いちばん電気を使う季節に、蓄電池がいちばん働けていないという結果は変わりません。
容量はどう決めればよかったか
家全体で使った電気は年間9,766kWh、発電量15,453kWhはその1.58倍ありました。それでも蓄電池が供給したのは2,020kWh、消費量の20.7%です。
先に断っておくと、わが家は容量を選んでいません。一条工務店の蓄電池は7.04kWhの1種類だけで、大小から選ぶ仕組みがないからです。増やしたければ2台目を積むことになります。
1年分の記録では、貯まる量は1日8kWh前後で頭打ちでした。太陽光が13.75kWあっても増えません。
先ほどの晴れた日を見ると、放電は22時で止まり、そこから朝までは買電に切り替わっています。その日の買電は合計11.07kWhでした。蓄電池は毎晩ほぼ空になり、そのあとは買っています。
つまり2台目を積めば、買う量は減らせたはずです。ただしその理由は「太陽光が大きいから」ではありません。夜に使う量が、1台で出せる6.4kWhより多いからです。
太陽光が5kWでも夜に10kWh使う家なら2台目が働きますし、13.75kWでも夜に4kWhしか使わない家なら1台で余ります。決めるのは夜の消費量のほうでした。
2台目を置く場所は、もう作ってあります
打ち合わせのときに「将来もう1台足せるようにしておきたい」と伝えて、壁に2台目用の下地を入れてもらいました。そのぶん窓は細くなっています。蓄電池は後から買えますが、壁は後から作れないからです。その経緯は蓄電池のせいで窓が細くなった話に書きました。
1年分の記録を見たいまの感想としては、下地を入れておいたのは正解でした。毎晩22時に空になって買電へ切り替わる状態なので、2台目を足す余地は確実にあります。あとは費用と、減らせる電気代を比べるだけです。
これから検討する人は、この順番で考えるといいと思います。
- いまの家で、太陽が出ていない時間帯に使っている電気量を調べる
- カタログの容量から1〜2割引いた数字を、実際に取り出せる量と考える
- 1が2より大きければ、容量を増やす(一条なら2台目)を検討する材料になる
1は難しくありません。スマートメーターが入っていれば、電力会社の会員サイトで時間帯ごとの使用量が見られます。東京電力の「くらしTEPCO web」なら30分ごと、関西電力の「はぴeみる電」なら1時間ごとの使用量をグラフで確認できます。
わが家は建てる前にこれをやっていませんでした。夜に何kWh使っているかを知らないまま契約しました。
蓄電池の容量も、太陽光の大きさも、契約前は1社の提案だけで決めてしまいがちです。タウンライフ家づくりでは、間取りプランや資金計画書とあわせて、複数の住宅会社から太陽光・蓄電池を含む提案を無料で取り寄せられます。容量の考え方は会社によって違うので、比べる材料になります。
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まとめ
- 1日の充電量は中央値8.12kWh、365日中226日が8〜9kWhに収まった
- 発電量が9.8倍違う日でも、充電量は2.3倍にしかならなかった
- 入れた8.12kWhに対し、出てきたのは6.40kWh。ある晴れた日の往復は81.0%
- 充電は朝の4時間で終わり、昼のあいだは売電に回っていた
- 年間の放電量2,020kWhは、消費量9,766kWhの20.7%
- 冬に平均が落ちるのは、発電の少ない日が多いから。放電ゼロの33日はすべて12〜2月だった
2台目を積むかどうかを決めるのは、太陽光の大きさではなく、夜にどれだけ電気を使うかでした。
なお、これは1軒の記録です。屋根の向き、家族の人数、夜に何を動かすかで結果は変わります。冬に発電の少ない日がどれだけあるかも地域によるので、日照の多い地域ならここまでの差は出ないはずです。
よくある質問
Q. 7.04kWhの蓄電池で、家の電気は何割まかなえましたか
年間で消費量9,766kWhに対して放電量が2,020kWh、20.7%でした。残りは太陽光からその場で使うか、電力会社から買っています。
Q. もっと大きい蓄電池にすればよかったと思いますか
一条の蓄電池は7.04kWhの1種類なので、大きくするという選択肢はありません。増やすなら2台目です。晴れた日でも放電は22時で止まり、そのあとは買電に切り替わっていたので、2台目があれば買う量は減らせたはずです。置く場所は建築時に下地を入れてあるので確保できています。あとは2台目の費用と、減らせる電気代を比べるだけですが、その計算はまだしていません。
Q. 冬に働かないのは、寒さで性能が落ちているからですか
わが家のデータではそう見えませんでした。冬でも発電が60kWhを超えた日の充電は7.89kWhで、夏の晴れた日とほぼ同じです。平均が下がっているのは、発電の少ない日が冬に集中しているためです。
Q. 太陽光を大きくすれば、蓄電池も多く使えますか
いまの7.04kWhのままなら、増えません。発電量が平均7.9kWhの日と77.5kWhの日で、充電量は3.57kWhと8.12kWh。1時間ごとの記録でも、朝の4時間で充電が終わり、そのあとは0でした。2台目を積むかどうかは、太陽光とは別に考える必要があります。