一条工務店の太陽光シミュレーションは当たったのか|提案書の数字と1年分の実測を並べた
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太陽光を載せるかどうかを決めるとき、一条工務店から発電シミュレーションをもらいました。年間でこれだけ発電して、これだけで元が取れます、という紙です。
あの紙は当たったのか。
わが家は2025年2月に引き渡しを受けて、太陽光の運転が始まったのは2月下旬でした。まる1年分の実測値が出そろったので、提案書の数字と並べてみます。
この記事でわかること
- 提案書の年間予測に対して、実測が何%だったか
- 搭載費用の見積もりが実際といくらズレたか
- 1年で発電した電気が、売電・自家消費・充電にどう分かれたか
- 実測ベースで計算した回収年数と、提案書の予測との差
- 予測を下回った月があったこと
数字はすべて、一条のパワーモニターの日次データ564日分と、検針票17か月分から出しています。
提案書に書いてあった3つの数字
契約前の提案書に書かれていたのは、この3つでした。
| 項目 | 提案書の数字 |
|---|---|
| 年間の発電量 | 14,175 kWh |
| 搭載費用 | 280.2 万円 |
| 回収にかかる期間 | 10年10ヶ月 |
わが家の条件も先に書いておきます。
- パネルの実容量 13.750kW(申請容量は9.900kW)
- 屋根は南西向き・方位角15度・勾配1.5寸
- 蓄電池 7.04kWh(5.5kVA)
申請容量が9.900kWになっているのは、10kW未満の余剰買取制度を使うためです。この区分だと売電期間は10年になります。
提案書には、年間だけでなく月別の予測も12か月分ついていました。以下はその数字と実測を並べたものです。
発電量は、年間で9.0%上回った
本題です。1年目(2025年3月〜2026年2月)の実測は 15,453kWh でした。
提案書の予測14,175kWhに対して +9.0%。パネル1kWあたりに直すと1,124kWhです。

月別に見ると、12か月中8か月で予測を上回っています。とくに7月は予測1,520kWhに対して実測2,226kWhで、+46.4% でした。
夏に大きく上振れして、年間の合計を押し上げた形です。
ただし、1月と2月は予測を下回った
上のグラフでオレンジになっている4か月が、予測に届かなかった月です。10月と12月はほぼ予測どおりですが、1月と2月だけ落ち込み方が違います。
| 月 | 予測 | 実測 | 予測に対して |
|---|---|---|---|
| 1月 | 621 kWh | 269 kWh | 43% |
| 2月 | 825 kWh | 510 kWh | 62% |
1月は予測の半分以下です。
年間で+9.0%という結果だけを見ていると、この2か月は見えなくなります。これから載せる人が知りたいのは平均値ではなく、いちばん少ない月がどれくらい少ないかのほうだと思うので、月別の数字を全部出しました。
発電した電気は、どこへ行ったか
15,453kWhの行き先です。

売電が9,703kWh、そのまま家で使ったのが3,187kWh、蓄電池に充電したのが2,563kWhでした。同じ期間に電力会社から買ったのは4,570kWhです。
発電した電気の3分の2は売っています。自分の家で使い切れているのは3分の1ほどで、蓄電池を積んでもこの割合でした。
余った電気を家の中で使い切れるかどうかは、床冷暖房を動かす季節かどうかで大きく変わります。そちらは別の記事に書きました。
▶ 関連記事:一条工務店の床冷房、1か月の電気代はいくらだったか
お金にすると、年間いくらか
わが家の売電単価は 16.0円/kWh(税込・10年固定)です。
- 売電:9,703kWh × 16円 = 約15.5万円
- 自家消費:買っていたら払っていた金額に置き換えて計算
自家消費分の評価には幅が出ます。同じ1kWhでも、昼間に使うのと夜間に使うのとでは単価が違うためです。わが家は夜間が安い時間帯別プランを契約していて、燃料費調整と再エネ賦課金を足した実質単価はおおむね24〜37円/kWhの範囲で、月ごとに動きます。
そこで2通りで計算しました。搭載費用280.2万円に対する回収年数です。
| 自家消費の評価方法 | 年間の経済効果 | 回収 |
|---|---|---|
| すべて夜間の安い単価で計算(下限) | 270,755円 | 10年4ヶ月 |
| 実際に使った時間帯の単価で計算 | 306,309円 | 約9年2ヶ月 |
上の行は、自家消費した電気をすべていちばん安い単価で数えた場合です。実際には昼間に使う分のほうが単価が高いので、下の行のほうが実態に近くなります。
提案書の予測は10年10ヶ月でした。いちばん保守的に見積もっても予測より早く、実態に近い方法だと1年8ヶ月早いという結果です。
ただし約9年2ヶ月というのは、売電期間10年のぎりぎり手前です。余裕があるとは言えません。
▶ 関連記事:一条工務店の資金計画書、Ⅴの「その他工事」はどこへ消えたのか
この計算に含めていないもの
上の回収年数には、次のものを入れていません。
- 機器の交換費用。 一条からもらったメンテナンス費用の資料には、15年目にパワーコンディショナの交換で約15万円、30年目に蓄電池の交換で約50万円と書かれています。どちらも回収年数の計算には入れていません
- 電気料金の単価変動。 燃料費調整も再エネ賦課金も毎年動きます。上の計算は実績の単価を使っているので、今後の分は含みません
- 検針期間のズレ。 検針票は暦月とずれます(たとえば7月分は6月17日〜7月15日)。月別の集計では、このズレを無視しています
- パネルの経年劣化。 1年半では判定できません
今から建てる人は、この数字がそのまま当てはまりません
ここが今回いちばん伝えたいところです。
わが家の16円は「10年間ずっと16円」でした。ところが2025年度の下半期から、住宅用の買取制度そのものが変わっています。
| 買取単価 | |
|---|---|
| わが家(契約時) | 16円が10年間ずっと |
| 現行(2026年度) | 24円(1〜4年目)→ 8.3円(5〜10年目) |
資源エネルギー庁が「初期投資支援スキーム」として導入したもので、屋根に載せる太陽光の回収を早めるために、最初の数年だけ単価を厚くする設計です。10年間の平均で見ると14.58円と説明されています。
つまり、前半に厚く入って、後半は薄くなる。
わが家の「約9年2ヶ月」は、16円が10年フラットで続く前提の数字です。この制度で載せる人は、回収の入り方がまったく違う形になります。単純には読み替えられません。
制度は毎年見直されます。契約前に、必ずその年度の条件を確認してください。
2年目も、同じ傾向が出ている
1年分だけだと「たまたま良い年だった」可能性が残ります。2年目の途中経過も載せておきます。

2026年3月から8月18日までで9,943kWh。1年目の同じ月と比べると、3月・4月・5月は上回り、6月は同じ、7月だけ下回りました。
夏に上振れする傾向は2年続けて出ています。一方、落ち込んだ1月・2月はまだ1回しか経験していません。ここが再現するのかどうかは、来年にならないと分かりません。
まとめ
一条工務店の発電シミュレーションは、わが家では当たっていました。むしろ控えめでした。
- 年間発電量は予測14,175kWhに対して実測15,453kWh(+9.0%)
- 回収は実測ベースで約9年2ヶ月。提案書の予測10年10ヶ月より1年8ヶ月早い
- ただし1月は予測の43%、2月は62%
- 発電した電気の3分の2は売電にまわっている
- パワコン交換(15年目・約15万円)と蓄電池交換(30年目・約50万円)は計算に含んでいない
- 買取制度が2025年度下半期に変わったため、今から載せる人は前提が違う
年単位で見れば提案書は当たります。ただし月単位で見ると、当たらない月がはっきりあります。「年間でこれだけ発電します」という説明を、毎月そのペースで発電する意味だと受け取らないほうがいいと思います。
太陽光の280万円も、家全体の資金計画の一部です。わが家の手元にあったのは一条の資金計画書1社ぶんだけで、その総額が妥当なのかを他社と並べて確かめたことはありませんでした。タウンライフ家づくりでは、間取りプラン・資金計画書・土地情報を複数の住宅会社から無料で取り寄せられます。発電シミュレーションが付くかどうかは会社によりますが、総額をそろえて比べる材料にはなります。
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よくある質問
Q. シミュレーションは多めに書かれているものではないですか
わが家では逆でした。年間で9.0%、実測のほうが多かったです。ただし屋根の向き・勾配・その土地の日照で決まる話なので、他のお宅で同じになるとは限りません。
Q. 蓄電池は元が取れましたか
この記事の回収年数は、太陽光と蓄電池をまとめたパッケージの費用で計算しています。パッケージ価格なので蓄電池だけの価格が分からず、単体の収支は出していません。
Q. 申請容量が9.9kWなのはなぜですか
10kW未満だと余剰買取制度が使えて、売電期間が10年になるためです。パネルの実容量は13.750kWですが、申請上の容量は別の数字になります。この仕組みは契約時に説明を受けました。
Q. 発電量のデータはどこで見られますか
一条の「パワーモニター」というアプリで、日別・月別・年別の発電量と消費量が見られます。この記事の数字もそこから出しています。