一条工務店のコンセント位置は、悩む場所だけ無料の3D CADで家電を並べて決めた


注文住宅の打ち合わせで、いちばん時間を使ったのが電気図面でした。

コンセントは、図面の上では小さな印がひとつ増えるだけです。ところが実際には「床から何mmの高さか」「棚板の何段目にかかるか」「そこに置く家電が当たらないか」まで決まらないと、使えるかどうかが判断できません。

我が家では、この判断が図面だけではどうしてもできない場所がありました。そこで**FreeCAD(無料で使える3D CAD)**で棚と家電をモデル化し、実際に置いてみてから高さを決めています。

ここまで手間をかけたのは、コンセントは家が建ってからでは、ほぼ変えられないからです。お金をかければ移設もできますが、現実的な選択肢とは言えません。「あのとき、もう少し考えて決めておけば」と後悔しそうだと思ったので、決められるうちに決めることにしました。

この記事では、その工程と、打ち合わせで実際に通らなかった要望を書きます。

この記事でわかること

  • コンセント位置を「家電 → 置き場所 → 高さ」の順で決めた具体的な手順
  • 3Dで検討した場所と、しなかった場所の線引き
  • 設計士に位置を伝えるときのコツ
  • 高さを指定できても、左右の位置は思いどおりにならないことがある理由
  • 高さの指示で行き違いが起きやすいポイント

結論:家電を決めてから、コンセントを合わせた

順番はこうでした。

  1. その場所に何を置くかを先に決める
  2. 棚に家電を並べてみて、棚板の高さを決める
  3. 家電や電源コードの位置に合わせて、コンセントの高さを決める

逆順にはできませんでした。コンセントの高さを先に決めてしまうと、後から棚板の位置が変わったときに困ります。

実際、洗濯機まわりでは高さを2回変えています。標準は床から1,350mmでしたが、自在棚を設置する前提で一度1,100mmに下げ、その後さらに100mm上げて1,200mmに落ち着きました。理由は洗濯機の下に置くかさ上げ台を入れることになったためで、単水栓の高さも1,200mmに揃えてもらっています。

脱衣室の洗濯機置場の検討資料。洗濯機とコンセント・単水栓の位置関係

この資料には、あとから自分で棚を付けられるよう、壁下地を1,250〜2,150mmの範囲で入れてもらう依頼も書き込んでいます。

なぜ図面だけでは決められなかったのか

平面図にコンセントの印を入れると、「この壁のこのあたり」までは決まります。しかし決まらないものが3つありました。

1. 棚板をどの高さに付けるかが、先に決まらない

自在棚は棚板の高さを後から変えられますが、コンセントは変えられません。つまり棚板の高さが決まらないと、避けるべき高さも決まりません。 そして棚板の高さは、置く家電の高さを積み上げないと決まりません。

2. 平面図には家電が描かれていない

図面に載っているのは壁と棚だけで、そこに何を置くかは描かれていません。そのため、印を入れた位置が本当に使いやすいのかを、図面の上で判断できません。 家電を並べてみて初めて、高すぎる・低すぎるが分かります。

3. 縦方向の積み方に正解がない

機器が5台6台あると、どの段にどれを入れるかで棚板の位置が変わり、必要なコンセントの高さも変わります。組み合わせが多すぎて、頭の中では収束しませんでした。

iPadの方眼紙からFreeCADに切り替えた

最初はiPadのGoodNotes(手書きノートアプリ)で、テンプレートの方眼紙の上に棚の正面図を描いて検討していました。

途中でFreeCADに切り替えたのは、3Dのほうがイメージしやすいと思ったからです。正面から見た図だけでは、奥行きのある機器を置いたときの余裕が分かりませんでした。

FreeCADは無料で、WindowsでもMacでも使えます。我が家で使ったのは、直方体を並べて寸法を入れる程度の機能だけです。

実例①:LD側の自在棚(機器が集中する場所)

キッチンとLDの間にある自在棚は、両面にコンセントがあります。そのLD側が、家全体で最も機器が集中する棚になりました。

照明のハブ、CDプレイヤー、カメラ用ボックス、スキャナー、iPadとMac、プリンター、シュレッダー。これを4段の棚にどう割り振るかを3Dで並べています。

LD側自在棚の検討資料。左が変更前、右が家電を配置した3Dモデル

最終的にこの棚は、次の配置になりました。

高さ(床から)種類向き
2,000mmLAN取出し口(JCL)
1,600mmコンセント横向き
1,200mmコンセント×2横向き
700mmコンセント横向き
200mmコンセント縦(標準)

横向きにしているのは、棚板とコンセントの高さが被りにくくするためです。コンセントがあると、その位置には棚板を設置できなくなると考えました。縦向きだとプレートが縦に長いぶん、避けたい高さの幅が広くなります。

ただし、これは結果的には心配のしすぎでした。壁と棚板の間には隙間があるため、コンセントがある高さにも棚板を設置できました。

とはいえ、どの家でもそうなるとは限りません。棚柱を取り付ける位置が奥側にずれれば隙間は狭くなり、その隙間にコンセントが収まらなくなります。気になる場合は、設計士に相談しておくのがいいと思います。

なお、上の検討資料に1,600mmが描かれていないのは、単純に書き漏らしていたためです。あとから追加を依頼しました。そしてその依頼を出したところ、この壁のコンセントが全部1,600mmになった図面が返ってきました。700mmと1,200mmに戻してもらっています。

3Dで詰めたあとにも、こうしたやり取りが続きました。3Dは検討の道具であって、これで打ち合わせが終わるわけではありません。

高さは指定できても、左右の位置は決められなかった

この棚では、コンセントの左右方向の位置も指定していました。上の資料にある「中心から左右に250mm」がそれです。

しかし、この左右位置は希望どおりになりませんでした。 具体的な説明はありませんでしたが、理由は建築中に現場を見て分かりました。

建築中の壁。コンセントボックスが柱に直接ビス留めされている

コンセントボックスは、柱に取り付けられています。 柱に留めるものなので、左右の位置は柱がある場所に自動的に決まります。壁の中に柱がない場所には、そもそも付けられません。

これは施主側からは見えない話です。図面の上では均等に並べられても、実際には柱の位置が優先されます。

左右の位置にこだわりがある場合は、高さと同じように「なぜそこなのか」を伝えておいたほうがいいと思います。柱の位置は設計士側にしか分からないので、早めに相談すれば代案が出たかもしれません。

壁が貼られる前に現場を見ておくと、こうした構造が確認できます。

実例②:カップボード隣の自在棚(家電ごとに置き方の制約がある)

こちらは奥行60cmで、レンジ、トースター、炊飯器、ゴミ箱を置きます。

カップボード隣の自在棚の検討資料。レンジ・トースター・炊飯器・ゴミ箱を配置した3Dモデル

この棚が難しかったのは、家電ごとに置き方の制約があったためです。レンジもトースターも発熱するため、左右と上に余裕を持たせる必要があります。どちらも扉が手前に開きます。炊飯器は棚から引き出して使いたい。

そこで炊飯器の段に、スライドレールを付けてもらえないかという依頼も出しました。このとき3Dでは、引き出したときに前へ出てくる棚板が、周辺のスイッチ類と干渉しないかも確認しています。

ただしスライドレールは却下しました。 一条工務店の標準工事ではなく別の業者に頼む必要があり、金額が高くなりそうだったためです。3Dで置き方まで詰めても、費用で見送る判断はあります。

高さの一覧はこうなりました。

高さ(床から)種類
1,850mmコンセント(横向き)
1,350mmコンセント(横向き)※専用回路で依頼したが通常品
950mmコンセント(横向き)
200mmコンセント(縦向き)

専用回路を依頼したはずが、通常のコンセントだった

この記事を書くために資料を見返して気づいたことがあります。

1,350mmの位置は、専用回路のコンセントとして依頼していました。 ところが現在ここに付いているのは、通常のコンセントです。

入居後、レンジとトースターを同時に使ってブレーカーが落ちたことがありました。そのときは「なぜ専用回路にしておかなかったのか」と自分を責めていたのですが、依頼自体はしていたようです。 どこかの段階で通常のコンセントに変わり、それに気づかないまま今に至っていました。

図面を見返すと、原因も分かりました。

修正依頼を出したあとに戻ってきた図面で、1,350mmの位置にだけ「電-A(横向き)」という注記が付いていました。ところが同じ横向きの1,850mmと950mmには、その注記がありません。当時の自分は、この表記の不揃いのほうに気を取られていました。 そして横向きの件だけを指摘して、専用回路の指示が抜け落ちていることに気づきませんでした。

いまはトースターの電源を、カップボード側にある専用コンセントから取っています。これでレンジと同時に使ってもブレーカーは落ちません。

ただし解決したとは言えません。 棚をまたいでケーブルを引いているので見た目は良くありませんし、本当はこうしたくありませんでした。仕方ないと思って使っています。

図面のチェックは、気づいた1点に集中すると、その周りが見えなくなります。 1か所直すと他も動く、という話を先に書きましたが、その逆もあるということです。自分が指摘した箇所の周辺こそ、いったん引いて全体を見直したほうがいいと思います。

画像の3Dには、給湯器のリモコンやインターホン、デシカント(全館換気)と床冷暖房のコントローラーも書き込まれています。設計当初はこの棚の周辺に付ける計画で進めていましたが、結局はすべて別の場所に移りました。 いま実際にここにあるのはコンセントだけです。

そしてこの棚には、別の場所で通らなかった要望が流れ込んできています。

キッチン側の自在棚で、窓寄りの位置に床から1,030mmでコンセントを希望したところ、設計士から「躯体と干渉するため移動不可」という回答がありました(2024年6月)。壁の中の構造が理由なので、こちらでは手の打ちようがありません。

結局、このコンセントはカップボード側に移すことで決着しました。同じ壁の中で位置をずらすのではなく、置き場所そのものを変えたわけです。

「どうしてもこの壁のこの高さでなければ困るのか」を考え直すと、案外そうでもないことがあります。

実例③:物入の自在棚(機器を隠す場所)

情報ボックス、ルーター兼防犯カメラ用レコーダー、ハンディ掃除機の充電。表に出したくない機器をまとめた場所です。

物入の自在棚の検討資料。情報ボックス・レコーダー・掃除機を配置した3Dモデル

情報ボックス(配線を集約する盤)は位置と大きさが決まっているため、残りの機器をその下にどう積むか、という検討になりました。コンセントは床から200mmの1か所だけです。

自在棚そのものの品番や金額は、別の記事にまとめています。

3Dで検討した場所と、しなかった場所

全部の場所を3Dにしたわけではありません。3Dに起こしたのは次の場所です。

  • キッチンとLDの間の自在棚(両面)
  • カップボード隣の自在棚
  • 物入の自在棚
  • 脱衣室の洗濯機置場と自在棚
  • キッチン
  • LD
  • 子ども部屋2室・寝室
  • 防犯カメラの設置場所

一方で、3Dにしなかった場所もあります。

シューズクロークは、用途が電動自転車のバッテリー充電と決まっていたので、検討の余地がありませんでした。

洋室の自在棚は、勉強机を置く予定で天板の高さがだいたい決まっており、照明用のコンセントは天板より少し上にあればいいと考えていたため、細かく確認していません。

答えが先に分かっている場所は、3Dにしても得るものがありません。 逆に、機器が複数あって順番や高さに正解がない場所ほど効きました。

なお、ここで載せている3Dは2024年5月ごろの検討段階のもので、その後の打ち合わせでさらに変わっています。完成した我が家のコンセント位置とは異なります。

設計士には「位置」ではなく「目的」も一緒に伝えた

これがいちばん効いたかもしれません。

依頼するときに、位置だけを書くのではなく、なぜそこに欲しいのかを添えました。

ここに〇〇を設置する予定のため、この位置にコンセントが欲しいです

こう伝えると、「それならこちらのほうがいいのではないですか」という提案が返ってきます。 位置だけを指定していたら、指定どおりに付くか、付かないかの二択になっていたはずです。

先ほどの1,030mmの件も、目的が伝わっていたからこそ「カップボード側に移す」という代案が出てきました。壁の中の事情を知っているのは設計士のほうなので、判断材料を渡しておいたほうが早く進みます。

壁の中の都合で通らない要望もある

躯体との干渉や柱の位置のほかに、小壁の幅で断られたこともあります。子ども部屋のスイッチを建具の横に付けたかったのですが、幅が足りませんでした。

いずれも、施主側からは壁の中が見えないために起きます。図面の指示が反映されない問題については、別記事で9件の実例をまとめています。

高さの指示で行き違いが起きやすい3点

打ち合わせを通して、高さの指示は言葉だけでは危ないと感じました。

1. 「上端」なのか「中心」なのか

我が家では、途中から「床から機器中心まで」で指示する形に統一されました。上端で書くか中心で書くかで、実際の位置は数cmずれます。

2. 何を基準にした高さなのか

シューズクローク内のコンセントについて、設計士から「これは1階の床基準の高さです」という確認が入りました。自在棚の金具も床基準で取り付けるためです。同じ「H=200」でも、基準が違えば別の場所になります。

3. 依頼が図面に残っているか、毎回確認する

先ほどの専用回路のように、いったん通った依頼が次の版で消えていることがあります。直した箇所ではなく、直していないはずの箇所を確認する。 これが結果的にいちばん効きました。

まとめ

  • コンセントは「家電 → 置き場所 → 棚板の高さ → コンセントの高さ」の順で決めた
  • 機器が集中する場所だけ3D CAD(FreeCAD・無料)で並べて確認した
  • 答えが先に分かっている場所は、3Dにしても得るものがない
  • 設計士には位置だけでなく目的を伝えると、代案が返ってくる
  • 高さは指定できたが、左右の位置は柱の場所で決まる
  • 棚板と被りにくいよう横向きにしたが、我が家では壁と棚板に隙間があり、被っても棚板は付けられた
  • 高さは「基準」と「上端か中心か」を必ず添える
  • 図面が返ってきたら、直していないはずの箇所こそ確認する
  • 依頼した内容が現物に反映されているかは、引き渡し前に自分で確かめる

よくある質問

Q. FreeCADは初心者でも使えますか

A. 我が家で使ったのは、直方体を並べて寸法を入れる程度の機能だけです。設計図を描くのではなく、箱を置いて干渉を見るだけなら、それほど難しくありません。無料なので、試してみて合わなければ方眼紙に戻ればいいと思います。

Q. 3Dで検討すれば、位置は一発で決まりますか

A. 決まりませんでした。3Dで詰めた後も、打ち合わせのたびに変更が入っています。左右の位置は柱の都合で変わりましたし、躯体と干渉して移動できない場所もありました。3Dは「置けるかどうか」を判断する道具で、最終形を決めるものではありません。

Q. コンセントは多めに付けておけばいいのでは

A. 数だけ増やしても、使わない場所にあれば無駄になります。数より、置くものと高さの組み合わせのほうが効きました。

Q. 自在棚の中のコンセントは横向きにすべきですか

A. 我が家は棚板と高さが被りにくくするために横向きにしましたが、実際には壁と棚板の間に隙間があり、コンセントがある高さにも棚板を付けられました。ただし棚柱の位置によっては隙間が狭くなるので、必ずしも不要とは言えません。

Q. 打ち合わせのどの段階で検討すればいいですか

A. 我が家は電気図面の打ち合わせが始まる直前でした。ただし着工前まで細かい修正が続いたので、早すぎて困ることはないと思います。

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