眠っていた初代iPad Airをスマートホームダッシュボードに再生した話|Home Assistant導入記・第1回
わが家には、家族の誰も使わなくなった初代iPad Air(iOS 12)と、2012年発売のNEC LaVie Lシリーズのノートパソコンが眠っていました。どちらも現役を退いてから長いのですが、捨てるにはもったいない。そこで、この2台を組み合わせて「家の情報が一目でわかるダッシュボード」として再生させました。
これは現在も進行中のプロジェクトです。この記事は第1回として、ダッシュボードが動くようになるまでの構成と、古い機材ならではの苦労を紹介します。
目指した姿と全体構成
やりたかったのは、リビングのニッチ(インターホン、エコキュートのリモコン、エコキュートの無線LANアダプターが取り付けられている場所)の一番上に壁掛けして、通りがかりに「玄関の様子・時刻・天気」がパッと確認できる、家の掲示板のような画面にすることです。ただし現時点ではまだ壁掛けできておらず、キッチンカウンターの上に置いて動作確認をしている段階です。壁掛けは今後の課題として、この記事の最後で改めて触れます。

構成はシンプルで、裏側の処理はすべて2012年製のLaVie Lシリーズが担当します。このノートパソコンにHome Assistant(オープンソースのスマートホーム統合ソフト)を入れ、防犯カメラの映像や天気予報の情報を集約。初代iPad AirのSafariでその画面を全画面表示しています。
表示しているもの
現在ダッシュボードに表示しているのは3つです。
- 玄関防犯カメラのライブ映像:別記事で紹介したUbiquitiの防犯カメラのうち、玄関の360度カメラの映像を表示。ただし完全なリアルタイムではなく、実測で30秒ほどの遅延があります(後述のスクリーンショットでも、iPad本体の時計21:00:40に対し映像側のタイムスタンプは21:00:05でした)。「来客に気づいてすぐ見る」用途には向きませんが、「玄関まわりの様子をなんとなく把握する」には十分です。同じ映像を新しいiPadで表示した場合はこの遅延がほぼ発生しないため、初代iPad Air・iOS 12側の処理能力が原因である可能性が高いです
- 時刻・日付:大きく表示。壁掛けできれば時計代わりにもなる見込みです
- 天気予報:現在の天気を表示
実際の画面がこちらです。

古い機材ならではの苦労
正直に書くと、ここまで来るのに一筋縄ではいきませんでした。原因のほとんどは、iPad側が古いことです。初代iPad AirはiOSのアップデートがiOS 12で止まっており、Safariも古いバージョンのままです。
最新のWeb技術に対応しておらず、表示が崩れる
Home Assistantの標準ダッシュボードは新しいWeb技術で作られているため、iOS 12のSafariでは表示崩れが多発しました。
グラフィカルな天気カードが表示できない
Home Assistantには見た目のきれいな天気カードがあるのですが、これも古いSafariでは表示できず、シンプルな文字ベースの表示に置き換えました。
CSSが効かず、自作の簡易ページで回避
デザイン調整のためのCSSも一部が効かないため、最終的にはiPad表示専用の簡易ページを自作して回避しました。
レイアウト変更が自動反映されない
サーバー側でレイアウトを変更しても、iPad側に自動では反映されません。変更のたびにiPadの前まで行って手動でリロードする運用になっています。
セキュリティ面の工夫
このiPadはOSが古く、セキュリティ更新も止まっています。そのままホームネットワークにつなぐのは不安があったため、このiPad専用に他の機器と切り離したネットワーク(VLAN)を用意し、必要な通信だけができるようにしています。
VLAN(ブイラン)というのは、1つのネットワーク機器(ルーターなど)の中に、目に見えない壁で仕切られた「別々のネットワーク」をいくつも作れる仕組みです。マンションで例えると、同じ建物(1つのルーター)の中に、鍵の違う部屋(VLANごとのネットワーク)がいくつもあるようなイメージです。同じ建物にいても、隣の部屋には勝手に入れません。これを使うと、古いiPadを「他の部屋(家電やPC)からは見えない、専用の部屋」に住まわせることができ、仮にこのiPadが攻撃を受けても、被害が他の機器にまで及びにくくなります。
VLANは自宅ネットワークをUbiquitiで構築した際の機能を使っています。具体的な設定値はセキュリティ上の理由で控えますが、「古い機器を使い続けるならネットワークを分ける」という考え方自体は、同じことをやりたい方の参考になると思います。
今後の展望(第2回に向けて)
このプロジェクトはまだ途中で、やりたいことが残っています。
- リビングのニッチ(インターホン、エコキュートのリモコン、エコキュートの無線LANアダプターが取り付けられている場所)の一番上に壁掛けする(現在はキッチンカウンターに置いてあるだけ)
- AppleのホームアプリからUbiquitiの防犯カメラ映像を見られるようにする
- 電動ハニカムシェードの操作をダッシュボードから行う
- カメラのライン検知と照明を連動させる
- 処理側をノートPCからRaspberry Piへ移行する
進展があったら第2回として記事にする予定です。
まとめ
- 使わなくなった初代iPad Air+2012年製ノートPCを、Home Assistantでダッシュボードとして再生した(現在はキッチンカウンターに置いた状態。リビングニッチ上部への壁掛けは今後の課題)
- 表示しているのは玄関カメラのライブ映像(約30秒の遅延あり)・時刻日付・天気予報の3つ
- iOS 12のSafariが古く、表示崩れ・天気カード非対応・CSS不発など苦労が多かった。簡易ページの自作とシンプル表示で回避した
- 古い機器は専用のネットワーク(VLAN)に分離して使うことで、セキュリティ面の不安を抑えた
新品のタブレットを買えばもっと簡単だったと思います。それでも、眠っていた機材に第二の人生を与えられたのは、費用ゼロという実利以上に楽しい経験でした。